経営に目的や目標は必要不可欠か?
経営においては、中期経営計画や年次経営計画などを通じて売上・利益目標や社員の個人目標を定め、日々のPDCAを実施するなど、目的や目標を設定することは不可欠であり、マネジメントの基礎となります。
結果を出すために、ゴールを設定し、そのゴールを達成するために逆算してマイルストーンを設定し、計画的にタスクを完了させ、ゴールを達成します。
このマネジメント手法は常識なのですが、中村天風の本を読んでいたときに「目的を定めることについて賛成しない」と書かれている箇所に出合いました。
「えっ、どういうことだろう?」
経営においては、目的を定めることが最も重要だと思っていた私にとって、この考えは理解できず、まわりの人々に尋ねても納得できる説明を得ることができませんでした。
その本には次のように記されています。
「目的を定めると焦りが生じる。焦りが生じるとファイトに傷がつく。私たちが持つ知識の範囲は限られており、それにとらわれていたら本当のファイトは出ない。だから、どこまでも目的は定めない。心に従いながら、がむしゃらにファイトを燃やしていくのです。何をするにしてもベストを尽くしていくのです。」
この考え方は一般的な生活上においては、すんなり理解できるのですが、、
経営においては、目的がないと社員全員を同じ方向に向かわせることが難しいし、当てはまらないのではないか??
最初の1、2年はこのように感じていましたが、考えを深くするうちに、これは文脈の捉え方や言葉の意味合いの違いに起因しているのではないかと考えるようになりました。
私の現在の解釈では、「経営上、売上目標や個人目標を立てる」という行為自体は否定すべきものではない、目的や目標を設定することはいいことであるが、それにとらわれすぎることに対しては焦りが出てしまうため、避けるべきであるのだと考えています。
以前は営業会議というと上司が目標未達の部下に対して、「石にかじりついてでも目標を達成しろ」と檄を飛ばすのが当たり前の世界だったように思います。昔はがむしゃらに行動すれば結果が出る時代であったからでしょう、、
では現在では、どのように考えればよいのか?
目的や目標に対して、捉われるのではなく、”既に達成できたもの”としてイメージ確信し、ただいまベストを尽くすことが重要なのだと思います。この境地になることが何より大切なんですね。
最近のコーチング業界でも、「ただ今を生きる」ことの重要性がクローズアップされているように感じます。
私が今でも思い出すのは、2011年のFIFA女子ワールドカップで優勝した「なでしこJAPAN」です。
あの時の選手たちの心境は、東日本大震災の後、不思議な力が働いて、
ただただ無心にベストを尽くしたというものでした。
そのような心の状態があったからこそ、彼女たちは優勝することができたのだと思います。
勝負でも、ビジネスの世界でも、人生でも、
最強の状態は「無心の境地」にあることを強く感じます。
この無心の境地を養うために、中村天風師の教える「安定打坐」(音を使った瞑想法)は最高の方法です。